思考と心を整え、世界の見方を変える「心を整える哲学の部屋」の最新講座が始まります。講師は『世界は贈与でできている』『利他・ケア・傷の倫理学』の著者で哲学研究者の近内悠太さん。2021年11月から始まり、満足度4.9(5点満点)を誇る人気シリーズの第11弾です。映画や本に触れたあと、「これ、良かったのかな?」「みんなはどう感じたんだろう?」とレビューを読み、自分の感想がわからなくなったことはありませんか? あるいは、周りの目や「こうあるべき」という意見を気にして、自分の「好き」「カッコいい」「美しい」という感覚を信じきれず、心の奥にしまい込んでしまったことはないでしょうか。私たちは他者に語るとき、「正しさ」や「根拠」といった客観性を重視しがちです。一方で、「好き・嫌い」といった主観は、個人の感覚として片づけてしまう傾向があります。そのあいだの領域──それが、「美しい」という感性です。たとえば、産まれた瞬間の赤ちゃん、本の中で心に残った一節、誰かの仕草に感じた温かさ。そんな瞬間に湧き上がる「美しい」という感覚は、主観的でありながら誰かと分かち合えると信じられる、不思議な感覚です。けれど、その感覚を言葉にしないままでいると、やがて流れていってしまう。いざ誰かに伝えようとすると自分の感覚や言葉に自信をなくしてしまう。そうして私たちは、せっかくの感覚を見過ごしてしまうのです。この講座では、そうした感性に目を向けながら、複数の書籍を手がかりに、「美しいと感じるとはどういうことなのか?」、「自分は何に対して『カッコいい』、『美しい』と感じるのか?」という問いとじっくり向き合っていきます。